マンションへの断熱ガラス取り付けの条件や注意事項について
マンションでの断熱ガラスへの取り替えについて
マンションや従来型団地、コーポラティブハウスのような住まいの事をひとくくりに「共同住宅」(色付き文字)と呼びます。 個人が所有する独立した戸建て住宅であれば、所有者の趣向で自由にできるのですが、共同住宅の場合、一定のルールがあります。
自由にできる個所とは
共同住宅の場合、皆で共有する建物の一区画を部分的に所有する事になりますので、個人の所有する「専有部」と、「共用部」に分けられます。 居住室内の専有部に関しては、家具やインテリア、壁紙、ドアノブ、照明器具などもちろん自由に選ぶ事が出来ます。しかし外側に面した窓・ドアの場合、建物の躯体に含まれる開口部という機能部位になるので、各戸に共通する玄関ドアのように共用部の扱いになります。ですから、管理組合の定める管理規約に沿った範囲での改装、改修、交換が決まりとなります。
国の定める管理規約
マンションのような共同住宅にかかわるルールの基本は、実は国できっちりと決められています。これが国土交通省作成のマンション標準管理規約です。この規約を各管理組合がアレンジ・ルール改正をして使っています。
また、国土交通省の運営する財団法人マンション管理センターという組織もあり、それを運営管理するマンション管理士という国家資格があるほどです。 ですから共用部である窓のリフォーム、 取り替えに関しましては、単純に好きなガラスに入れ替えればいいという訳ではなく、 一定のルール(建築基準法、民法、都市計画法、消防法)を守った上で入れ替えなければなりません。
まとめ!
一定のルールをクリアすれば窓ガラス自体の交換は、マンションのような共同住宅で十分可能であると断言できるのです。
戸建てとマンションの条件の違い
管理規約のもとに居住する集合住宅の場合には、ルールを守って皆で建物を維持していく重要性があることがわかりました。 窓を結露しないペアガラスに変える場合も、ルールと条件を守れば管理組合様からもきちんと了承を頂いて、安心してリフォームが出来ます。
戸建て住宅の特権
戸建て住宅の場合には、消防法に定められた防火が必要な開口部というルール (網入りガラスなどの防火ガラスを使わなければいけない)を除くとガラスの透明、不透明、ガラスの色や反射率など、 その家の所有者様の自由です。(あえて言えば近隣家屋への配慮は常識的に必要な場合がございます)
地上高12m以下の建物(3階建て程度まで)であれば、 よほど大きな窓ガラスを除いて標準的な厚みのガラス(最も薄いガラス厚のもの)が使う事ができ、 施工の面でも問題ありません。また、窓ガラスのリフォームに需要のあるガラスメーカー各社のアタッチメント付きペアガラスであっても、 その見た目の変化でさえも、個人の自由ですから選択肢はとても幅広いといえます。
マンションの場合の条件
マンションの場合であっても、防火性能の部分(網入りガラスなどの防火ガラスを使わなければいけない)は戸建て住宅と同じです。 それに追加して、意匠やガラスの強度、施工性の面ですべてに共用部という概念、規約に制限があるので、 そのルールをクリアしたものだけを窓ガラスの交換リフォームに使う事ができるのです。
その基準をクリアするガラスとはどのようなものなのか、次にご説明いたします。
マンションでの4つのルール
集合住宅であるマンションでの窓ガラスの交換には、管理規約の制約に基づいて次の4つの項目を全て満たす必要があります。
意匠について(外観的な特徴のこと)
マンションにおいて窓ガラスは外壁と同じで意匠性(デザイン性)があります。マンションの資産価値を維持する上で、次の決まりを守る必要があります。
1,ガラスの透明、不透明を既存と同じにする
建物の外観や共用部に面した箇所など、建物全体として決められたデザイン性の一部という事ができます。 ですから、今が透明であれば入れ替えるガラスも透明を使う、今が不透明の窓ガラスであれば不透明なガラスに入れ替えるなど、意匠としてのマナーの確保やプライバシー問題などにも影響が出ると言えます。
2,著しい見た目の変化がない事
極端な色付きガラスやシルバーに強く反射する窓ガラスなど、著しい見た目の異なる窓ガラスへの交換やフィルムを貼る事は、 共同住宅の管理規約上禁止されているルールのです。
各窓の外観はお部屋に設置されているカーテンの柄や、 色によって異なると言えますが、一般にその色、模様などの透過性を極端に遮るもの (強いシルバーやスモークのような色、赤などの目立つ色)のように、一目で外観上見た目が違うとわかってしまうほどの窓ガラスは採用できません。つまり、Low-eガラスで言えば、Low-e膜の色が薄く、 また、日射の反射率が30%程度のものであれば、見た目の変化の違いに気づく方もほとんどなく、問題ないと言えます。
耐風圧強度について
窓ガラスは外壁と一緒で、内外気圧の異なるその境界のの一部です。戸建て住宅に比べ、 その大きな建物全体で大きな風圧を捉え、それが窓ガラス自体に気圧差(=荷重)としてかかりますから、耐風圧強度の高いガラス=厚いガラス厚が必要になります。 マンションで窓ガラス交換を行う場合には、次のような選択肢があります。
マンションでの窓ガラスの交換は、建物の大きさや窓の大きさ、その他多くの条件を揃え、 国土交通省の建築用板ガラス風圧設計ソフトにてシミュレーションする事が必要です。
防火ガラスについて
戸建てマンションに限らず建物の設計の中で重要な要素のひとつである消防法。防火が必要な開口部には、網入りガラスなどの防火ガラスが義務付けられております。 (一部防火性能を有するシャッターが設置されるような場合にはこの限りではありません)
防火が必要な開口部は、防火区域、道路境界や隣地境界からの距離、 万が一の時の為の避難通路に面した開口部などが一般的です。
窓ガラスを断熱ガラスに入れ替える場合でも、防火ルールは今入っている窓ガラスに従わなければいけません (縦線、または横線だけの網入りガラスは現在防火性能を認められておりません)。 今、網入りガラスが入っている窓ガラスの場合、入れ替える断熱ガラスも防火性能を有したタイプを選ぶ必要があります。
このように網入りガラスの場合、どの仕様であってもガラス厚が厚くなることで施工上様々な問題が出て来ます。 マンションでの施工において唯一網入りガラスであっても施工が可能なのは、真空ガラススペーシアだけです。
搬入について
断熱ガラスの製作可能なサイズ内であっても、マンション入口から窓前への搬入ができる事が工事に必要な条件です。 昔に比べて窓ガラスは大きくなる傾向にあり、大型FIX窓など大きなガラスも増えてきています。しかし、搬入に使用させていただくエレベーターの規格は、間口80cm、高さ200cmのエレベーターがほとんどです。
一部高層マンションなどでは、運搬用の大型エレベーターが備え付けられている場合もあります。事前の工事可否の点で、窓ガラスを搬入できるかどうかの判断も重要です。
マンションで断熱ガラスへ入れ替える場合の流れについて
共同住宅での窓ガラスの交換は、基本的に上記のルールを守れば、問題ないと言えます。これは、弊社が長年多くのマンションにて管理組合様や管理会社様と積み重ねてきた、間違いのない事実です。
ただし、工事を行う場合には、管理組合様の規定に沿ったリフォーム申請手続きを守らなければなりません。 弊社では、マンション毎に必要な申請や書類の作成に出来る限りご協力させて頂いております。個人様でわかならない事がありましたら、お気軽にご相談下さい。
管理組合様への申請に必要な書類
マンションなど共同住宅で、共用部である窓ガラスを交換するリフォームを行う際に、一般的に求められる事例をご紹介させて頂きます。
・リフォーム工事申請書・・・マンションにより書式が異なります。どの部位にどのような工事をするのか具体的に説明した申請書です。 慣例ですとお施主様より資料をお預かりし、弊社にて記載作成致します。
・工程表・・・工事の流れ、項目を説明した書類です。
・仕様書・・・工事に使う製品のカタログや仕様書を揃え提出します。必要に応じてガラスサンプルなども提出する事があります。
・工事のお知らせの掲示・・・必要に応じ、掲示板への告知書類の作成、ご近隣様への工事説明書、お知らせを作成させて頂きます。
・その他資料の作成・・・必要に応じ、専門的技術資料の作成させて頂きます。(入れ替えるガラスの許容耐荷重値比較、熱割れ検討の算出など)
以上のような書類を必要によって揃え、管理組合様へ、工事申請のお手伝いをさせて頂きます。